Anju Rupalは、「目的のために戦う美の反逆者」として知られる化粧品ブランド「ABHATI Suisse」の創設者です。パンジャブ人を両親に持ち、ロンドンで生まれ育ちました。祖母はよく、自分で作ったオイルやパウダーをAnjuの髪や顔に塗りつけてくれるような人でした。自然美の大切さを祖母から教えられたAnjuは、その後の人生においてもこの教えを守り抜いていくことになります。現在、娘であるShirin Dörigと共に、スイスのテクノロジーとインドの伝統を融合させた目的主導型の企業、ABHATIを発展させています。彼女たちの哲学とはなんでしょうか?すべての活動の軸となっている考え、それは「世界とそこで暮らす人々に還元する」ということです。
美に対する先見的な取り組み方、また、自然の恵みを活かした化粧品がインドに住む何百人もの少女たちの生活にどのような影響を与えているかについて、母と娘である、おふたりに話を聞きました。
Anjuさん、美に対する情熱を掻き立てたのは何だったのですか。また、自分の化粧品ラインを起ち上げようと決意したきっかけを教えてください。
インドのヒマラヤ地方を訪れた際、農業を営む現地部族の方の肌や髪がつやつやしていることに気づきました。それがきっかけです。地元で調達した天然原材料を使うことの可能性に気づかせてくれたのが、この体験です。こうして、古くから伝わる慣習とバイオテクノロジーのような現代科学の双方を取り入れた製品開発が始まったのです。オイルやハーブを使ってスキンケア製品を作る祖母の教えに着想を得つつ、伝統と現代性の隔たりを埋めることを目指しました。
こうしてすばらしいオイルや植物由来製品ができたのですが、後になってスイス人とインド人の間に生まれた娘の髪や肌にとって、その質感が重すぎることに気づきました。インドに伝わるお手入れ方法と独自開発のSwiss Abhati Complex™キャリアシステムを併用することによって、肌質や髪質を問わず誰もが使える製品を作り出すことに成功したのです。
ABHATI Suisseという名前にしたのはどうしてですか?
ブランドのルーツであるスイスとインドを説明できるよう、古代サンスクリット語で「光り輝く」という意味を持つ「Abhati」という言葉と、「Suisse」という言葉を組み合わせて生まれたのが「ABHATI Suisse」というブランド名です。私たちが中心に据えているのは、「マウンテン・ボタニカル」です。スイスアルプスやインド・ヒマラヤの高地(標高1,500メートル)で採取された強力な原材料を取り入れることを意味します。
インドの非営利団体Educate Girlsと協力していますね。このコラボレーションに対する考え、またあなたにとってなぜこのコラボレーションが大切なのかを教えてください。
Educate Girls は、インドの農村地域に住む少女たちに教育機会を与えるために活動している団体です。私は社会福祉事業で働いていましたが、経済的自立に向けて教育を通して少女らをエンパワーメントすることが大切だと考えます。私にとってこのパートナーシップは個人的に非常に重要な意味を持っています。女子教育によって、各々の将来だけでなく地域社会全体に大きな好影響が生まれると確信しています。少女たちをエンパワーメントすることで貧困という負のサイクルを断ち、家族に力を与え、持続可能な開発を促すことができます。 私たちは、Educate Girlsとのコラボレーションを通し、こうした好ましい変化を起こす手助けをしたいと考えているのです。
成功を収めるために、女性起業家にとって最も大切な3つのスキルとは何でしょうか?
起業家にとって大切なのは、強靭な心、忍耐力、型にはまらない考え方や決して諦めない気持ちです。事業を運営していく過程では、いろいろな感情が沸き上がり、揺れ動きます。
お互いから受けたアドバイスの中で、最も役立ったアドバイスはどのようなものですか?
Anju:アドバイスというよりは観察に基づく感想なのですが、Shirinがビジネス経営と彼女の情熱とも言える音楽活動をスムーズに両立させている様子に感嘆します。世界中でDJとして活躍しているのですから。とてもクールだと思います。
Shirin:毎日、母をロールモデルにして活動できることが非常に役立っています。物心ついて以来、私にビジネスで成功している女性の模範例を見せてくれたのは母なのです。女性がビジネスで成功を収め、立場を貫き、自立することは、ごく当たり前のことだと学ぶことができました。自分の意思を貫き、決して諦めない気持ちを持って物事に取り組む母の資質は本当に素晴らしいと思います。またその資質を受け継いだのはありがたいと感じています。
ABHATI Suisseが示すもの、それは未来志向の美です。このコンセプトについて説明してください。
それはつまり、古くから伝わる知恵と最先端科学の持つ利点との融合を意味しています。アーユルヴェーダ、バイオテクノロジー、長寿に関する研究といったさまざまな領域を代表する専門家から成る国際チームが協働することによって、革新的な処方が生まれるのです。だからこそ、効果と持続可能性を兼ね備えた、ホリスティックかつ先進的な美のソリューションを提供できるのです。
美で最も大切なのはウェルビーイングです。お気に入りの充電方法は何ですか?
スイスアルプスの麓、アッペンツェルという自治体の中に当社の本社はあります。私たちは、充電するためにハイキングなど自然の中で過ごす活動をよく行います。そして我が家の女性たちの間で何世代にもわたって受け継がれてきたもう一つの大切な伝統があります。それは、オイルを使って毎週行うインド式ヘッドマッサージ「チャンピサージ」です。このリチュアルは、強く健康な髪を育てる助けとなるだけでなく、心の落ち着きとリラクゼーションをもたらす瞑想の時間ともなり得るのです。
Shirinさん、ABHATI Suisseに入社しようと思ったきっかけは何ですか?
私はいつも、母から刺激を受けています。母が自宅のキッチンで自家製の髪・肌用ケアアイテムを作る姿を見て育ちました。母はさらに、私たち姉妹にインドに伝わる伝統的な美の秘密を教えてくれたのです。私は10歳の時、美しくなるためのコツ、自家製のマスク、製品レビューなどを紹介するYouTubeチャンネルを始めました。その後、さまざまな業界で経験を積み旅行もたくさんしましたが、最も夢中になれるのはABHATI Suisseでの意思決定に関わることです。自らのビジョンと価値観に従い、ゼロからブランドを起ち上げた母を尊敬します。美に対する情熱を追求し、その情熱を共有するプラットフォームを提供してくれる場、それがABAHTI Suisseなのです。さらに、母と協力してこの会社を新たな高みへと導くこともできます。
母娘でビジネスを経営するうえで、どのような障壁にぶつかりましたか?また、どのようにしてワークライフバランスを維持していますか?
会社内でそれぞれの役割を全うするにあたり、もちろんいくつかの障壁にぶつかりました。 私(Anju)が先見性や創造的なやり方を持ち込むのに対し、Shirinは細部に対する鋭い観察力を活かして組織統括を担っています。ワークライフバランスの実現は、私たちにとって重要な課題です。オンオフの区別がつかなくなりがちですが、仕事から少し離れたい時や家族の他のメンバーと過ごす時などは、お互いにはっきり伝えるようにしています。こうしてエネルギーを維持するようにしています。ビジネスパートナーとしても家族としても、調和を保ちつつそれぞれの役割を全うするためには、オープンなコミュニケーションと信頼が不可欠です。
目的は、あなたにとって何を意味しますか?
私たちにとって目的とは、自分たちが行う活動に対して明確な意味と意図を持つことを意味します。深く共鳴する価値観に合ったアクションや意思決定を行うべきなのです。ABHATI Suisseが体現するのは、古くから伝わる知恵、科学的革新、社会的責任の調和です。全ての製品や取り組みが、お客様のみならず地域社会や環境にも利をもたらすという意図のもと設計されています。これは、目的主導型の美容ビジネスにおける新しいスタンダードとも言えるでしょう。 ABHATI Suisseは、B Corporation認証を受けた初のスイス企業の一つです。

