Akris Spring 2026 — Color and Line
「レオン・ポーク・スミスの作品は、一見するとそぎ落とされた原理が貫かれているようで、ふとした瞬間にその印象を覆されることがあります。」
Inspiration
「2023年にチューリッヒのハウス・コンストルクティフ美術館で開催された展覧会を訪れたとき、まさにそんな体験がありました。
そこにあった作品《Seven Involvements in One》は、空間を堂々と支配しながら、鮮やかで、精緻で、そしてどこか自由。脈打つようなエネルギーと、型にはまらない大胆さを備えた、自立するオブジェとして強く印象に残っています。
スミス自身、「自分の作品はミニマルの対極にある」と語ったことがありますが、その言葉には深く共感します。アクリスもまた、『引き算』ではなく『本質』を見つめるブランド。フォルムと素材を通して、着る人自身の存在を際立たせることを大切にしています。
ミニマルに“見せる”ことではなく、“本質的である”こと。それが、アクリスのものづくりの根底にある価値観です。」
クリエイティブ ディレクター アルベルト・クリーラー
Collection
アクリス2026年春夏コレクションでは、「純粋さ」は制約ではなく、無限に広がるひとつの宇宙として捉えられ、構築性、直感、そして官能性が共存しています。
ドレープが美しいフリンジニットは、スミスの曲線的なラインを想起させ、ブランドを象徴するトラぺゾイド刺繍は、より有機的で存在感のある表現へと進化。建築的でありながら、流れるような柔らかさを湛えています。すべてのピースは、クラフツマンシップとスイスデザインならではの精緻さによって生地から丁寧に形作られ、動きに自由と意志をもたらします。
そして際立つのは対照の中に宿る、動的な緊張感。繊細な刺繍のオーバーレイと、ハリのあるデニムやサマーレザーといった実用的なアイテムとの間に生まれるコントラストがスタイルにほどよい緊張感をもたらします。
The New Akris Alice Handbag
ホースヘアとサテンで仕立てられたトップハンドルバッグ「アクリス アリス」は、陽光を受けてラピスブルーやオレンジの色彩がきらめき、アートと日常をつなぐ鮮烈な輝きを放ちます。
Akris Spring 2026
色彩と線が織りなす対話 — アート、建築、自由、そしてフォルム。シンプルであることの中に、無限の表現が息づいていることを思い出させてくれます。
ミニマル抽象芸術における「ハード・エッジ」スタイル(※)の先駆者として知られるレオン・ポーク・スミス(1906–1996)は、当時インディアン・テリトリー(ネイティブ・アメリカン居留地)と呼ばれていたチカシャに生まれました。その翌年、この地はアメリカ合衆国のオクラホマ州となります。彼の創作には、アメリカ南西部の広大な空間や地平線、そしてネイティブ・アメリカンの伝統と造形的表現が深く影響しています。
1950年代初頭、スミスは代表作となる《Correspondence(呼応)》シリーズの制作を開始。その中でも《Seven Involvements in One》は最も野心的な作品とされています。2色が曲線または直線に沿って出会い、色と形がひとつに融合する構成が特徴です。
彼の作品は、ニューヨーク近代美術館(MoMA)、グッゲンハイム美術館、ホイットニー美術館、ブルックリン美術館、ベルリン国立美術館(Neue Nationalgalerie)、フランスのグルノーブル美術館など、世界有数の美術館に所蔵されています。ニューヨークを拠点に50年以上にわたり活動したスミスの芸術と遺産は、現在もニューヨーク市に拠点を置くレオン・ポーク・スミス財団によって継承されています。
※ハード・エッジとは、色の境目がはっきりと分かれている、シャープで平坦な色面を特徴とする抽象画のスタイルのこと。












































