About the House
アクリスは、1922年にスイスのザンクト・ガレンで誕生しました。創業者は、穏やかながら起業家精神にあふれた女性、アリス・クリームラー=ショッホ。1台の家庭用ミシンでエプロンを縫いはじめたことが始まりです。
ザンクト・ガレンはテキスタイルの街として栄え、さらに精巧なエンブロイダリー(刺繍)技術により世界的に高い評価を受けてきました。アリスが作る服は、地元のお洒落な女性たちを魅了していきます。1944年には、アリスの息子マックスが家業に参加。彼は、母のイニシャルの頭文字から取ったブランド名「アクリス」を創ります。プレタポルテ事業を拡大するとともに、テッド・ラピドスやジバンシィといったパリのクチュールメゾンとも提携。
マックスの息子アルベルトは、19才でパリに留学したあと、クチュールメゾンで見習いをする予定でした。しかし、父の右腕として働いていた従業員が急死したため、家業を手伝うことになったのです。若きアルベルト・クリームラーは、ためらうことなくアクリスのクリエイティブ部門の責任者の地位を引き継ぎ、今ではディスクリート(控えめな)・ラグジュアリーを代表するインターナショナルなブランドとして確固たる地位を確立しました。
Albert Kriemler
クリエイティブ ディレクターであるアルベルト・クリームラーにとって、ファッションの目的は、女性の生活をより快適にし、女性が持つありのままの美しさや優雅さを引き立てることにあります。アルベルトが考えるファッションとは、単なる美しさをはるかに超える重要なものです。彼はファッションを、身に着けた女性を守り、身体とセンシュアルなやり取りをするシース(鞘 さや)のようなものだと考えています。
このため1片の生地を手にするところから、アルベルトのクリエイションは始まります。彼は言います。「生地に触れれば何ができるかわかる。」そしてスケッチを始めるのです。ここでアルベルトが考えるのは、女性のライフスタイルです。一人の女性がどこへ出かけ、何をして、どう感じたいのか?それをもとに、女性の忙しい日々の一瞬一瞬を美しく彩る服を創り上げていきます。控え目で高級感のあるデザインが女性の身体を引き立たせ、個性を際立たせます。アルベルトは言います。「女性が部屋に入ってきたら、まず彼女の個性に注目してほしい。何を着ているかはその次のことです。」
アートに造詣が深いアルベルトは、著名な画家、彫刻家、写真家、建築家とのコラボレーションによるコレクションも数多く発表しています。彼がこれまでにコラボレーションしたアーティストには、カルメン・ヘレラ、ジェタ・ブラテスク、ロドニー・グラハム、トーマス・ルフらがいます。
St. Gallen
古くからスイスの繊維産業の中心地として、アルプス山脈の麓に広がる街、ザンクト・ガレン。アクリスは、7万5千人が暮らすこの静かながら魅力的な街を拠点とする唯一のファッションブランドです。ザンクト・ガレンは、19世紀以来その優美なエンブロイダリー(刺繍)技術で世界中に知られています。アクリスのために生地を開発しているビショフ・テキスタイル、フォスター・ローナー、ヤコブ・シュレイファーといった革新的なテキスタイルカンパニーもこの街を拠点としています。
ザンクト・ガレンは、アクリス創業者のアリス・クリームラー=ショッホが生まれ、その家族が3代にわたって暮らし働いてきた街です。この街の静かな美しさと豊かな文化は、アクリスのデザインにエネルギーをもたらし、クリエイティブ ディレクターであるアルベルト・クリームラーにインスピレーションを与え続けています。