105歳にして一線で活躍し続けるキューバ系米国人の抽象画家の一人、カルメン・ヘレラ。今もその勢いは留まることを知りません。アクリス2017年春夏コレクションでは彼女の作品からインスピレーションを得た洋服を発表しました。ヘレラが語る人生のストーリーとは。
ヘレラは、生涯のほとんどをアーティストとして過ごしてきましたが、初めて作品が売れたのは2004年、ヘレラが89歳の時でした。以来、ヘレラの作品は高い評価を受け、ニューヨーク近代美術館、ホイットニー美術館、ボストン美術館をはじめとする名だたる美術館に所蔵されています。
アート界で最も広く知られる存在となった今日も、ヘレラはこれまでと同じようにニューヨークのアトリエで創作活動を続けています。 そんな日常のなか、女性アーティストであることの意味や、2度のパンデミックを経験したヘレラならではのストーリーを語ってくれました。アートの世界で生きる女性たちに向けて、激励の言葉を贈っています。ヘレラが真のインスピレーションとなり、Woman with Purpose - 目的を持つ女性 となった背景には、創造への飽くなき情熱がありました。
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今も毎朝のスケッチを続けているようですね。どのようなアトリエで働いているのですか?最近、あなたのインスピレーションとなっているものはありますか?
ええ、もう何十年、何も変わっていないの。それが楽しいのよ。窓際の机から蘭の花が見えるの。年々美しくなっているわ。通りの向かいの建物は変わってしまったわね。巨大なモンスターを造っているみたい。ここは今も1960年のままなのに。
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アート界で認められるまで長い時間を要しましたね。初めて作品が売れたのは89歳の時でした。あなたは情熱をひたすら追い続け、決してあきらめませんでした。自分が信じるものを追い続けてこられた理由は?
注目されないということは、自由であるということでもあるわ。好きなことを何でも自由にできるわけだから。批評など気にしなくていいの。
- アートにおいて女性であることの意味は?
私たち女性画家は、世界の人口の半数(つまり女性)が持つビジョンや視点を持ち込むことができるのよ。何世紀にもわたって、どれだけの豊かさがないがしろにされてきたか、想像してみて。今の時代は良くなったと信じているわ。
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あなた自身、特に楽しみにしている展示やプロジェクトの予定はありますか?
ロンドンのロイヤル・バレエ団のウェイン・マクレガーのために制作したセットが、コヴェント・ガーデンで展示されることになっているのだけど、無事展示されることを願っているの。コロナの影響はいろんなところに出ているので。私は1919年のスペイン風邪のパンデミックも経験したのよ。姉がマスクをつけていたのを覚えているわ。
それから、ポンピドゥーのグループ展示では、わたしのパリの絵画作品が展示される予定よ。1950年代にパリにいた経験は、私自身にとっても、私の作品にとっても、とても貴重だったわ。
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あなたのお話は、若い女性アーティストたちにとって大きな刺激となります。彼女たちの励みにもなるような座右の銘があれば教えてください。
「Do what you love and love what you do(自分が愛することをしなさい、そして自分がすることを愛しなさい)」努力、努力、努力。それから、幸運が訪れることを少しだけ祈るの。