To creativity its freedom

小さな扇を思わせる、ちりばめられた花びら。そして、ブルー、イエロー、ポピーレッドの色合いで自由に浮遊するフルーツプリント。それはまるで映像と音楽で作り上げる、動きのあるイリュージョンを想起させます。

The Inspiration

上野リチ・リックスは、20世紀初頭にテキスタイルと工芸のデザイナーとして活躍し、そのポエティックなデザインによって、ウィーン工房の最も傑出したアーティストの一人として名を馳せました。当時、ウィーン・モダニズムは、簡素化と合理性の追求とされていました。リチはそこに、装飾、活気、色彩、そして曲線を持ち込んだのです。彼女は、自身が好んでそう呼んだように、「ファンタジー」の概念に重きを置きました。彼女にとって、それはオリジナリティを実現するための想像力を示すものでした。

2023年3月に、クリエイティブ ディレクターのアルベルト・クリームラーはリチの作品に初めて出会い、その独自の視覚言語に対する情熱に魅了されました。鮮やかな色彩の対比が彼女の作品を輝かせますが、特に「Easter Bonbonnière(イースター用ボンボン容れ)」のデザインでは、その素晴らしさが際立っています。彼女はその自由な発想により、誰もが持つ普遍的なイメージを自分らしく表現してみせたのです。

アルベルトは語ります。

リチは、内なる創造性こそが真のアイデンティティへの道であると確信し、工芸の表現の可能性を心から信じていました。工芸を一種のエネルギーと捉えるリチの考えに、私も深く共感します。今回のコレクションを制作するにあたり私たちを導いたのは、まさにこの工芸が持つ力でした。それは、手刺繍のポピー、流れるようなフリンジに変わるタッセル、スーツやコートに施されたオーガンザに織り込まれています。

無限の「ファンタジー」の想像力に敬意を示したいと思います。このコレクションはリチへのオマージュであり、驚きをもたらすすべての女性たちへの賛歌です。リチの世界へようこそ!

アルベルト・クリームラー
パリ、2023年10月1日