アートエキシビション by Akris × ARTnews JAPAN
Reimagining the Values Vol. 1
「Rebirth Reverse Construction」

ブランド誕生100周年を記念して、東京 日比谷 帝国ホテルプラザ1階にオープンしたポップアップスペース、Akris Salon(アクリス サロン)。アクリスが大切にするエレメントにまつわるエキシビションやアート展など、さまざまなイベントを開催しています。
この度、アートメディア「ARTnews JAPAN」とコラボレーションし、国内外で活躍する若手アート・プロデューサー山下有佳子氏をキュレーターとして迎えたエキシビション「Reimagining the Values」を3回にわたってアクリス サロン(帝国ホテルプラザ1階)にて開催します。
第一回となる「Rebirth Reverse Construction」では、アクリスの哲学でもある「Construction / 構築」をテーマに4組のアーティストによる作品をご紹介します。5月17日から6月11日まで。入場無料。

創業100周年を迎えたアクリスは企業家精神にあふれた女性、アリス・クリームラー=ショッホが地元の女性たちのためにエプロンを作ったことが始まりでした。以来アクリスは世界中の「目的を持つ女性たち(Woman with Purpose)」をサポートしています。さらに現クリエイティブ ディレクター アルベルト・クリームラーは、アートや建築に造詣が深く、これまで、トーマス・ルフやカルメン・ヘレラ、藤本壮介など、世界で活躍するアーティストや建築家とコラボレーションしたコレクションを発表してきました。

今回、アクリスは1902 年にアメリカで創刊したアートメディア『ARTnews』の日本版である「ARTnews JAPAN」とコラボレーションし、アクリスの哲学を体現するエキシビションを3回にわたり開催します。「Reimagining the Values」を大テーマに掲げ、各回のキュレーションを、国内外で活躍するアート・プロデューサーで、かつアクリスが掲げるWoman with Purposeを体現する山下有佳子氏が手掛けます。

概要
会期:​2023年5月17日 - 6月11日
会場:Akris Salon(アクリス サロン)
東京都千代田区内幸町1-1-1 帝国ホテルプラザ1階 Google MAP
電話番号:0120-801-922(アクリスジャパンカスタマーサービス)
営業時間:11:00 - 17:00
入場料:無料

※会場にてアクリス公式LINEに友だち追加いただいた方、全員にアクリス キーチャームのギフトをご用意しています。すでに友だち登録いただいている方も対象です。数に限りがありますので、なくなり次第終了となります。
※内容は予告なく変更されることがあります。

第1回「Rebirth Reverse Construction」

ファッションとは、身にまとったとき自分を最高だと感じられるような“構築”である、と考えるアルベルト・クリームラー。第1回では、アクリスのキーエレメントのひとつである「Construction / 構築」をテーマに、「Rebirth Reverse Construction(再生・逆再生・構築)」というタイトルのもと、パリを拠点に活動するブラジル人アーティストデュオ、デタニコ・レイン、日本を代表するコンセプチュアル・アーティストの河原温、日本を拠点とする若手アーティストの細井美裕、関根ひかりの作品をご紹介します。

「わたしたちが生きる現代は、東日本大震災のような未曾有の災害や、新型コロナウイルスの感染拡大とそれに伴う不況など、ときに理解が追い付かない複雑さや不確定さを帯びています。こうした出来事との衝突を経て、多くの人々がひとつの時代の終末と、未知なる新しい時代のはじまりを実感しているのではないでしょうか。その渦中にあって、不確かな未来をどのように認識し、真新しい世界を構築していくのか。
本展覧会で紹介する4組のアーティストは、言語や数字、イメージなどが内包する記号性が持つ意味について再考することで、既存の社会的な枠組みや概念を解体し、再構築することを試みています。彼らの作品は、既存の社会やシステムの構造を再解釈する、あるいは逆転させることで世界の新しい見方を提案してくれます。
本展が、私たちひとりひとりが、心地よいと感じられる新しい時代を作り上げるきっかけになることを願っています。」

――アート・プロデューサー 山下有佳子

展示作品について

河原温《One Million Years》(1999) 個人蔵(private collection)
河原温《One Million Years》(1999) 個人蔵(private collection)

制作時期を基点として、過去と未来にそれぞれ100万年間の西暦が羅列された作品です。河原は人間の生死や存在と消失をテーマのひとつとして数々の作品を発表してきました。本作は作家によってタイプライターで打刻された淡々と並ぶ年を示す数字を通して、鑑賞者に日付や時間という記号的な概念の無機質さを再認識させるとともに、深く広く、途方もない時間の連なりへの想像を促します。

細井美裕《Lenna》(2019)
細井美裕《Lenna》(2019)

音楽を作る場所、聴く場所のシステムや環境による体験の差異について表現するサウンドワークです。22.2チャンネルサラウンドで制作されている本作は、展示環境や再生する機材環境によって、モノラル(1チャンネル)、ステレオ(2チャンネル)、サラウンド(5.1チャンネルなど)などへと変化していきます。また、このサウンドは「声」によって構成されており、他者や世界、さらには社会との繋がりの中で、声という人間がもつパーソナルな物質の構造が変容していく様を想起させます。

デタニコ・レイン《Lunar Maria》(2018)
デタニコ・レイン《Lunar Maria》(2018)

円形に敷き詰められた白い砂利の各地点にアルファベットが割り振られており、その配置に合わせて、ライトが月の海の名前を照らし出すという作品です。変化するライトの光は、白い砂利の上に本物の月のようなイメージを描き、鑑賞者に視覚的な宇宙体験をもたらします。この作品を通じて、作家は、感覚や感情といった個人的なものではなく、共通の記号や法則をもとに自動生成された普遍的なイメージを構築しています。それは、実際の構造体を生み出す過程に、もはや意味/アイデアの創造主としての人間がいらないのではという疑問を我々鑑賞者に投げかけるとともに、意味やアイデアという核が形骸化していく予兆とも捉えられます。

関根ひかり《文字の種》(2020)
関根ひかり《文字の種》(2020)

意味を持つがゆえに語弊や、それに伴う争いを生むきっかけにもなってしまう「文字」が禁止された世界を想定しています。その世界では、意味を失い記号となってしまった文字=文字の種に、人々が宝石のような価値を見出します。これは既存の概念の意味の消失、あるいは再考を通して、そこから生まれる新たな価値の可能性について鑑賞者に考えさせるきっかけを与えてくれます。

Photo: Kaori Nishida

山下有佳子(アート・プロデューサー)
1988年、 京都で茶道具商を営む家庭に生まれる。 慶應義塾大学卒業後、ロンドンのサザビー ズ・インスティチュート・オブ・アートにてアー ト・ビジネス修士課程を修了。サザビーズロンドン中国陶磁器部門でのインターンを経て、サザビーズジャパンにて現代美術を担当。主にオークションの出品作品集め、及び営業に関わり、ヨーロッパのオークションにおける戦後日本美術の取り扱い拡大に携わる。2017年から2022年までアートギャラリー「THE CLUB」マネージングディレクター。2022年より「Art Collaboration Kyoto」プログラムディレクターを務め、京都市成長戦略推進アドバイザー(アート市場活性化担当)就任。京都芸術大学の客員教授も務める。

『ARTnews JAPAN』は、1902年に米国で誕生した世界最古のアートメディア『ARTnews』の日本版として、2022年1月に創刊。オンラインメディアでは、US版の翻訳記事やアート市場のインサイトやオークション速報など、アート×経済の最新動向を伝えるほか、ジェンダーや気候変動などの社会課題に対するアートを通じた発信、文化とアートをつなぐ最新事例の紹介など、日本独自企画を制作し、発信しています。

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