A Century in Fashion
Act II

アクリス100周年のアニバーサリーコレクションの第2弾である、2023年秋冬コレクションの最初のインスピレーションは アーカイブの中に隠された1970年代の型紙が入った3つのボックスでした。その型紙は、行動する自由と選択する自由の表れでもありました。

1970年代は女性が初めて能動的に服を選んだ時代です。これは後戻りすることはありませんでした。自己表現のための服、それは未来にむけたアクリスのスピリットであり、ストリートのリズムであり、女性のリアルな生活を表現するものでした。

1972年に私の父Maxが、祖母が1922年に始めたエプロンの製造をやめ、テーラリングを専門とするアトリエを買収し、イタリアの紳士服の仕立てとダブルフェイスの技術をメゾンににもたらしました。父は変化の必要性を感じていました。働く女性、声を上げる女性のニーズを。

このコレクションは、女性へのサルトリアルオマージュであり、女性のスタイルをよりスリークに、心地よいものへと導いてくれます。 アクリスの100年を祝う第二弾のコレクションでもあります。そしてセレブレーションは 2023年5月にチューリッヒで開催されるエキシビションへと続きます。

アルベルト・クリームラー

2023.3.5 パリ

The Abraham Flower

多くの場合、私のデザインを刺激するのは幾何学的な建築的要素ですが、今回私の目を引いたのは、花の繊細で抽象的な美しさでした。

1970年代はグラフィカルな要素にあふれており、チューリッヒに本拠地を置くシルクメーカーであるアブラハム社が生地を提供していました。アブラハム社の大胆で美しく、エネルギーに溢れるフラワープリントはイヴ・サンローラン、クリストバル・バレンシアガ、ユベール・ド・ジバンシィ、ビル・ブラス、ジェフリー・ビーンなどのデザイナーに称賛されていました。

1976年、アブラハム社のオーナーであり先見の明のあるデザイナーでもあるグスタフ・ツムステッグは、まだ10代だった私をサンローランのオートクチュールショーに連れて行ってくれました。「それは決定的な瞬間であり、自分の理想とする服作り、そしていつかはそれを実現させたいことを考えるきっかけとなりました。」
今回のコレクションのフラワープリントは、メゾンのアーカイブから見つかったその年のアブラハム社のプリントをベースにしています。

Picture credit:

​Original Abraham print, 1976